バイオフィルムの知識

定期的なクリーニングの目的はバイオフィルムの破壊と除去です。

バイオフィルムは虫歯や歯周病の原因になります。

歯科では、歯の表面についたバイオフィルムをデンタルプラーク=歯垢と呼んでいます。台所の三角コーナーなどには、ぬるぬるとしたしつこい汚れが層になってくっつきます。これもバイオフィルムで、細菌がネバネバの多糖類を作って個体の表面にくっつき、大きく成長したものです。表面がフィルムでしっかりカバーされているので、洗剤はもちろん強い殺菌剤を使っても簡単には除去できません。タワシでこすると落ちますが、タワシの当たらない隅の汚れを取り除くことは容易ではありません。

バイオフィルムを除去するには、今の所力ずくの方法しかありません。これは歯科も同じで、細菌の集団を守るバリアが強力なので、力ずくで破壊しなければなりません。バイオフィルムの中の細菌を薬で退治することはできないのです。なので、定期的なクリーニングに勝てる対策はない。ほとんどの人の場合、健康的な生活習慣を守り1ヵ月に一度専門的なクリーニングを受けなければ、虫歯や歯周病をほぼコントロールできます。ただ、歯科での定期管理は、ほかの病気の管理法や治療法と少し違っているため、簡単なことなのに、一般の人達はもちろん、専門家にもなかなか理解されません。「悪いところもないし、病気でもないのに歯科医院に通う必要なんてない」と思われてしまうのです。

しかし、バイオフィルム感染症では、定期検診に勝る対策はありません。最も確実なコントロール方法は、定期的にバイオフィルムを破壊し、除去することです。歯科での定期管理が特別な意味を持っているのは、このような理由からなのです。自分の体のリスクを理解して定期管理を受ければ、リスクの高い人でもコントロールでいます。

メインテナンスの内容は患者さんによって異なりますが、どの患者さんの場合でも、歯の専門的な掃除が欠かせません。

バイオフィルムは強力に歯にくっついています。歯には小さなくぼみがたくさんあり、そこには歯ブラシの先では届きません。歯と歯の間はフロスを上手に使わなければ綺麗になりません。そこで徹底した清掃を行い、そのあと、フッ素入りペーストで念入りに研磨します。歯と歯肉の境目にも歯ブラシの毛先が届きにくい場所があります。放置していると、そこにがっちりバイオフィルムができて歯肉の炎症が引き起こします。定期検診では細菌の塊や歯石を破壊し除去します。