乳歯が生えそろったら、もう立派な子ども

乳歯が生えそろったら、もう立派な子ども、つまりひとりの人間です。両親や周りの人もそれを意識して対応しなければなりません。そこで、このころの発達過程を簡単におさらいしておきましょう。

早ければ乳犬歯が生え、遅くても奥歯が生え始める頃には、反抗的な態度は次第に影をひそめ、子どもとの時間が楽しくなります。知的な能力と感情を抑える力がグンと高まり、お喋りが増えます。1歳の反抗期にきちんとしつけができなかった場合は、反抗期がずるずると長引いてしまうかもしれません。それでも、乳歯が全て生えそろう頃には、赤ちゃんが立派な子どもになったことに驚かされるでしょう。

このころは、言葉、特に自分に話しかけられた言葉に対する興味が増します。新しく身についた運動能力を使いこなして、歩く、走る、飛び跳ねるといった動作が楽しくてたまりません。テレビにも興味を示しますが、「テレビは控えめに」と考えるぐらいがちょうどいいでしょう。また、同じ年頃の子どもと遊ぶのに興味を示すようになり、友達と遊んだりするようになります。

2歳までは試行錯誤の時期で、感覚運動的知能(乳幼児がもつ空間認識能力)が発達し、地盤の視点からだけの見方を示します(例えば、嘘をつくようになります)。また、手助けを求め、うまくできたことを認めてもらいたがります。さらに、動くものに生命を想像します。2歳になると、「ごっこ遊び」が始まり、結果を予測するようになります。

2歳を過ぎると、特別な教育によって知能のめざましい発達が可能になります。特定の運動能力の発達を促そうとすれば、それもある程度可能です。この時注意しなければならないのは、知能の発達だけを重視して、社会性の発達を疎かにしてしまうことです。これは教育熱心な親にとって、しばしば落とし穴になります。成人するまでは子どもは一面的な知能や運動能力で評価されがちですが、その子の一生を考えると、社会性のあるバランスのとれた発達が大切なのです。

シャボン玉、にらめっこ、口笛

子どもは、口を使った遊びが大好きです。できないことができるようになると、とても楽しいものです。ストローでブクブク、シャボン玉、紙風船、にらめっこ、口笛、風船ガム…。「お行儀が悪い」とやめさせてしまうお母さんがいますが、やっていい時といけない時をわきまえるのが「行儀」です。思いっきりやっていい時を作ってあげましょう。

シャボン玉は口をすぼめてストローを静かに吹くことができないと、うまく膨らみません。口を閉じないとにらめっこはできません。口をすぼめて、舌を細く丸めて息を静かに吹くと口笛が鳴ります。

遊びながら口の発育ができて、上手に食べること、上手に発音すること、素敵に笑うことが身につきます。

口を閉じることができないお子さん、くちゃくちゃと食べ物を前歯でかんでしまうお子さん、口から食べこぼすお子さん、上手に発音できないお子さんには是非、お父さんお母さんが一緒になって、シャボン玉、にらめっこ遊びを始めましょう。口を使った遊びの中で口唇や舌がコントロールできるようになります。