歯科医院で行う、歯周病検査とは?

歯周病は「沈黙の病」とも言われ、痛みなどの自覚症状が少ないまま進行してしまうことがよくあります。そのため、歯科医院での定期的な検査と診断が非常に重要です。今回は、歯周病を早期に発見し、進行を防ぐために歯科医院で行われる主な検査方法について詳しく解説します。

歯周病とはどんな病気?

歯周病は歯を支える組織(歯肉や歯槽骨)が炎症を起こし、歯が抜けてしまう病気です。最初は歯ぐきが赤く腫れる「歯肉炎」から始まり、進行すると「歯周炎」となって、歯槽骨が溶けてしまいます。

初期段階では痛みがほとんどないため、自分では気づきにくいのが特徴です。歯科医院での専門的なチェックが、歯周病の進行を防ぐ鍵となります。

歯周病の主な検査項目

歯周病の診断では、さまざまな検査を組み合わせて総合的に判断します。以下が代表的な検査内容です。

歯周ポケットの測定(プロービング検査)

歯と歯ぐきの間には、歯周ポケットと呼ばれるすき間があります。このすき間が深くなると、歯周病が進行しているサインです。

歯科医院では「プローブ」と呼ばれる専用の器具を使います。歯周ポケットの深さを1本1本の歯について測定します。正常であれば1〜2mm程度ですが、3mm以上ある場合は歯周病の可能性が高いです。5mm以上になると中等度〜重度の歯周炎が疑われます。

この検査は、出血の有無も確認するため、歯ぐきの炎症レベルの把握にも役立ちます。

歯の動揺度のチェック(動揺度検査)

健康な歯は骨にしっかりと支えられているため、ほとんど動きません。しかし、歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が失われていき、歯がぐらぐらと動くようになります。

歯科医師はピンセットなどで歯を軽く揺らして、動揺の度合いを3段階(動揺度0~3)で評価します。

動揺度0動かない(健康)
動揺度1わずかに動く
動揺度2中程度に動く
動揺度3かなり動く(重度)

この検査により、歯が抜けるリスクを把握することができます。

レントゲン撮影(X線検査)

歯周病は、歯ぐきの内側にある骨(歯槽骨)が溶けていく病気です。肉眼では見えない歯槽骨の状態を確認するために、レントゲン撮影が欠かせません。

レントゲン画像からは、歯の根の周囲の骨の減り具合や、歯石の付着、膿のたまりなどを確認できます。これらから、見た目ではわからない進行状況や、治療の必要性を正確に判断することが可能になります。

プラークや歯石の確認

プラーク(歯垢)は歯周病の原因となる細菌のかたまりです。このプラークが固まると歯石となり、通常の歯みがきでは除去できなくなります。

歯科医院では染め出し液を使用して、磨き残しを確認したり、専用の器具で歯石の有無をチェックします。歯石が付着している場合は、スケーリング(歯石除去)などの処置が必要です。

口腔内写真の撮影

視覚的に歯ぐきの状態を記録するために、口腔内の写真を撮ることもあります。これは、治療前後の比較や、患者さんへの説明に使われることが多いです。

歯ぐきの腫れや退縮の様子、出血の箇所などを記録しておくことで、治療の経過を可視化できます。

唾液検査や細菌検査(必要に応じて)

近年では、唾液中の成分や歯周病菌の種類を調べる検査も行われるようになってきました。特に再発リスクの高い方や、なかなか症状が改善しない場合には有効です。

これにより、よりパーソナライズされた治療計画が立てられます。

歯周病の検査はどのくらいの頻度で受けるべき?

目安としては、3ヶ月〜6ヶ月ごとの定期検診がおすすめです。特に、歯周病の既往歴がある方や、高齢者、糖尿病などの全身疾患を抱える方や、妊婦さんはより短い間隔でのチェックが望ましいです。

検査を受けてこそ、歯周病は防げる

歯周病は進行してから気づくと、治療に時間も費用もかかる病気です。しかし、定期的な検査と診断を受けることで、早期発見・早期対応が可能になります。

歯ぐきが腫れている、出血しやすい、口臭が気になる…そんな症状がある方は、ぜひ一度歯科医院で歯周病の検査を受けてみてください。