なぜ歯周病は高齢者に多いの?
歯周病は日本人の多くが悩まされている病気で、特に高齢者に多く見られます。年齢を重ねると誰しも体の機能が衰えていきますが、それは口の中も同様です。高齢者になると、歯周病のリスクが高まる理由はさまざまあります。
目次
加齢による免疫力・回復力の低下
年齢とともに免疫力が低下すると、歯周病の原因である細菌に対する抵抗力も弱くなります。さらに、炎症が起きた際の回復力も低下します。そのため、若いころなら自然に治っていた軽度の歯肉炎も、悪化して歯周炎へと進行しやすくなります。
唾液の分泌量の減少
高齢になると唾液の分泌が減少する傾向があります。唾液には、口内の細菌を洗い流す作用や、粘膜を保護する役割があります。しかし、唾液が減ると細菌が繁殖しやすくなり、歯周病の原因となるプラーク(歯垢)がたまりやすくなります。
歯みがきのしにくさ・セルフケアの困難さ
加齢に伴い、これらの症状がありませんか?
- 指先の細かな動作が難しくなった。
- 関節の痛みなどで歯ブラシを上手く操作できない
- 視力や集中力の低下
これらの症状があると、磨き残しが多くなり、口腔内の清掃が不十分になりがちです。つまり、結果的にプラークや歯石が溜まり、歯周病が進行しやすくなります。
高齢に伴う、歯が少なくなっていることによる影響
高齢者は、過去のむし歯や歯周病などの影響で、すでに多くの歯を失っている方もいます。残っている歯に負担が集中し、噛み合わせのバランスが崩れることで、局所的に歯ぐきへダメージが加わりやすくなり、歯周病の進行を促してしまいます。
入れ歯の使用とトラブル
部分入れ歯や総入れ歯を使用している高齢者も多いですが、入れ歯の清掃が不十分だと、入れ歯に付着した汚れが歯周病の原因になります。また、合っていない入れ歯を使い続けることで歯ぐきに慢性的な刺激が加わり歯周組織の炎症を引き起こすこともあります。
通院が困難になることも一因
高齢者の中には、自分で歯科医院に通うことが難しくなる方も少なくありません。交通手段がない、体力的に外出がつらいなどの理由から、定期検診を避けるようになり、その結果、口の中のトラブルが見過ごされがちになります。歯周病は早期発見が重要なため、このような“受診困難”は大きなリスクです。
高齢者向けの歯周病予防のポイント
高齢者にこそ、口腔ケアの習慣が重要です。
- 歯みがきは1日2〜3回、時間をかけて丁寧に行うよう心がけましょう。
- 手が不自由な方には、電動歯ブラシの使用も有効です。
- 歯間ブラシやフロスも併用することで、プラークをより効果的に除去できます。
- 唾液が減ってきたと感じる方は、こまめな水分補給や、唾液腺マッサージ、キシリトールガムなどを活用するのもおすすめです。
- 家族や介護者によるサポートも重要です。
本人が十分にケアできない場合は、周囲がケアを支援することも一つの手。定期的に歯科検診に付き添うことも効果的な予防策です。
まとめ:年齢に応じた予防ケアを意識しよう
歯周病は年齢とともにリスクが高まります。しかし、正しい知識とケアによって進行を防ぐことができます。特に高齢者は、口腔内の変化を見逃さず、必要に応じて歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けることが大切です。
高齢になっても自分の歯で食事を楽しむために、今できるケアから始めていきましょう。