カウンセリングで大切にしていること ートリートメントコーディネーターの視点から ー

歯科医院でのカウンセリングは、単なる説明の時間ではありません。
患者さまの不安や疑問を受け止め、これからの治療を一緒に考えていく大切な時間です。

私たちトリートメントコーディネーター(TC)は、治療を「進める」立場ではなく、
患者さまが安心し、納得し、自分で選択できるようにサポートする役割を担っています。

今回は、当院がカウンセリングで大切にしていることを、TCの視点からお伝えします。

まず大切にしていること ― 安心・安全であること

どれだけ丁寧な説明があっても、
安心できる環境でなければ、信頼は生まれません。

当院では、感染症対策を徹底することが基本だと考えています。

滅菌可能な器具はすべて滅菌。
治療器具やハンドピースはもちろん、削るときに使用するバーまですべて滅菌しています。
目に見えない部分こそ妥協しない。それが私たちの姿勢です。

さらに、治療前には口腔内の菌が少なくなるよう、電解機能水によるうがいを徹底しています。

TCとしてカウンセリングを行う際も、
「安心して治療を受けられる環境が整っていること」を、しっかりお伝えしています。

不安を抱えたままでは、どんな説明も心に届きません。
まずは、安心・安全であること。それがすべての土台です。

解決手段を“しっかり”提供すること

当院では、「とりあえず削る」という治療は行いません。

虫歯や歯周病は、単なる“歯の問題”ではなく、
細菌レベルの問題だと考えています。

そのため、顕微鏡レベルでの口腔内細菌検査を行い、
お口の中の状態を科学的に把握したうえで、治療法を検討します。

「なぜ虫歯になったのか」
「なぜ歯周病が進んだのか」

原因が分かれば、対策も明確になります。

インプラントやマウスピース矯正治療では、
口腔内スキャナーを用いた精密治療を行い、
より正確で負担の少ない治療を目指しています。

TCは、こうした検査や治療の意味を、専門用語をかみ砕きながら説明します。

「何をされているのか分からない」ではなく、
「なぜこの検査が必要なのか」を理解していただくことが大切だからです。

最も大切にしていること ― 患者さまに寄り添うこと

私たちが最も大切にしているのは、
患者さまの悩みに寄り添い、共にニーズを見つけることです。

虫歯があるから削る。
歯周病だから治療する。

それだけでは、本当の意味での満足にはつながりません。

・見た目をきれいにしたい
・できるだけ歯を残したい
・将来も長く健康でいたい
・できるだけ通院回数を減らしたい

患者さまの背景や価値観は一人ひとり違います。

TCは、検査前・治療前・治療中・治療後、それぞれの段階でお話を伺い、
患者さまにとっての“最適解”を一緒に探します。

当院では、「虫歯だから何も言わずに削られる」という治療は絶対にありません。

必ず説明し、納得していただいたうえで治療を進めます。

カウンセリングで心がけている姿勢

TCとして大切にしている基本姿勢があります。

・否定しない
・急がせない
・決断を押しつけない

患者さまが迷っているときは、その迷いを大切にします。

治療は、患者さまご自身が選ぶものです。
私たちはその判断材料を整理し、支える存在です。

「こんなことを聞いてもいいのかな」
そんな遠慮は必要ありません。

費用のこと、期間のこと、不安な気持ち。
どんなことでも、安心して話せる環境をつくることが、TCの役割です。

親知らずの抜歯をきっかけにいただいた言葉

ある患者さまは、下の親知らずが横向きに埋まっている状態でした。
レントゲンでは神経に近い位置にあり、大学病院での抜歯が必要になる可能性が高いケースでした。

実はその方は、以前通っていた歯科医院でも
「抜いたほうがいいですね」と言われたことがあったそうです。
しかし、そのときは具体的な説明が少なく、
「なんとなく怖い」「本当に必要なのか分からない」という気持ちが残り、
結局そのままになっていました。

痛みが出るたびに不安になりながらも、
「また説明だけで終わるのでは」と思うと、なかなか一歩が踏み出せなかったといいます。

当院ではまず、CT撮影を行い、神経との位置関係を詳しく確認しました。
その画像を一緒に見ながら、

・なぜ大学病院を紹介するのか
・神経に近い場合のリスク
・抜歯の流れ
・術後に起こり得る症状
・紹介先での処置内容

を一つずつ丁寧に説明しました。

TCとして大切にしたのは、「怖さを否定しないこと」

「不安ですよね」
「決して簡単な抜歯ではありません」

そう前提を共有したうえで、
放置した場合のリスクと、抜歯することで得られる安心の両方を整理しました。

その患者さまは、しばらく考えたあと、大学病院での抜歯を決断されました。

処置後の経過も良好で、当院でのフォロー時にこうおっしゃいました。

「ちゃんと説明してもらえたから、怖かったけど決断できました。」
「前の医院では“抜いたほうがいい”だけで終わっていたので、今回は納得して進められました。」

この言葉は、私たちにとってとても印象的でした。

抜歯を勧めることが目的ではありません。
大切なのは、患者さまが理解し、納得して選択できることです。

たとえ大学病院を紹介するケースであっても、
私たちは“紹介して終わり”にはしません。

不安を受け止め、情報を整理し、必要な説明を行い、
そして処置後もフォローする。

その積み重ねが、信頼関係につながると考えています。

カウンセリングは、信頼関係を築くための大切な時間です

カウンセリングは、治療の前に行う“作業”ではありません。
信頼関係を築くための大切な時間です。

安心・安全な環境を整え、
科学的根拠に基づいた解決手段を提示し、
そして何より、患者さまに寄り添うこと。

それが、私たちが大切にしているカウンセリングの姿勢です。

説明が長ければ良いわけではありません。
大切なのは、患者さまが理解し、納得していることです。

初診時のお口の状態と現在を比較しながら、
変化や成果を共有することも、その一つです。

「ここまで良くなりましたね」
その一言が、信頼につながります。

これからも、一人ひとりの患者さまにとって最適な選択ができるよう、
TCとして丁寧に向き合ってまいります。