早すぎる離乳

離乳食はいつごろから始めればいいのでしょう。

滑らかにすりつぶした流動食であれば、口に入れれば奥へ自然に流れていきますが、急いでいた離乳食を始める必要はありません。むしろ早すぎる離乳には、重大な弊害があると考えられるようになっています。

離乳期は、食べ物がお乳から固形食に変わるだけではありません。この時期に赤ちゃんは、吸う(吸啜+飲む)から食べる(咀嚼+嚥下)へと、生きていくうえでとても大きな能力を獲得します。それと同時に生後1歳前後のこの数カ月に、口から自由に息を吐いて複雑なことばを発音し始めるのです。

ですから、育児を楽にするために早く離乳してしまおうと考えないでください。離乳期は野菜や果物、魚など味覚の幅を広げる大切な時期でもあります。完全におっぱいと縁を切る卒乳は、ずっと後、最初の奥歯が生えるころ(平均で1歳6ヵ月ごろ)が適切です。

生後1~2ヵ月の赤ちゃんのくちびるに指を触れると、刺激した方に顔を向け、指をくわえようとします。口の中に指を入れると、指を舌で包んで口の中に取り込もうとします。いずれもおっぱいを吸う本能的な動き(ほ乳反射)です。この反射的な動きは、7ヵ月くらいになるとすっかがりなくなります。このほ乳反射が消え、ごっくんができるようになる(5~6ヵ月)ときが、いきものとしての離乳期の始まりです。それがお乳以外のものを食べ始める目安になるでしょう。早めに離乳食を始めると、赤ちゃんは口に入ってきたものを舌で押し出します。離乳食を食べてくれないと悩むお母さんがいますが、これはほ乳反射で、離乳初期の正常な反応です。母子健康手帳には、生後6~7ヵ月の項目として「離乳食を始めましたか」と記載されていますが、無理して食べさせようとする必要はありません。

ペンフィールドのこびと

ものを感じる感覚は、はじめに舐めたり触ったりする感覚から発達します(口唇感覚)。舐めたり触ったりすることによって得られる情報は、動物にとって最もベーシックな情報です。とくに口唇感覚はすべての知覚の基盤です。口唇や舌で手あたり次第に舐めまわすことによって、たとえばツルツルした丸いかたちの実感が、からだの感覚としてでき上がるのです。ですから、赤ちゃんから舐めるものを取り上げてはいけません。舐める感覚が育ってから、次に触る感覚が育ちます。

老化は、赤ちゃんの発達とちょうど反対で、口唇感覚は最後まで元気です。口から食べることが、すべての元気の源になるのです。ですから脳卒中のリハビリは、まず口を動かすことから始めると効果的なのです。知覚は、口唇や舌から始まり、最後の最後まで、口唇や舌の感覚は残るのです。