歯ぎしりしていませんか?
皆さんは、朝起きたときに「顎がだるい」「歯がしみる」「口の中の筋肉がこわばっている」と感じたことはありませんか? それは、睡眠中に行われる歯ぎしりや食いしばりが原因かもしれません。実は歯ぎしりは自覚しにくく、多くの場合はご家族から「音がうるさい」などと相手から指摘されて初めて気づくケースも少なくありません。
~歯ぎしり・食いしばりセルフチェック表~
チェック項目 | 当てはまる |
朝起きたときに顎がだるい、重い感じがする | □ |
歯がしみることがある(知覚過敏のような症状) | □ |
歯の表面が削れている、平らになっている気がする | □ |
奥歯の詰め物や被せ物がよく取れる | □ |
舌の側面にギザギザの跡(歯の痕)がついている | □ |
口の中の筋肉(頬やこめかみ)がこわばることがある | □ |
家族やパートナーに「歯ぎしりの音がする」と指摘されたことがある | □ |
- 0~1個:大きな心配は少ないですが、気になる症状が続く場合は歯科で相談してみましょう。
- 2~3個:歯ぎしりや食いしばりの可能性が高めです。歯のすり減りや顎への負担が心配されます。
- 4個以上:要注意!歯や顎への影響が強く出ているかもしれません。早めに歯科医院でのチェックをおすすめします。
このチェック表はあくまで目安ですが、複数当てはまる場合は「歯ぎしり・食いしばり」の可能性が高まります。
歯ぎしり・食いしばりとは?
歯ぎしり(ブラキシズム)は、睡眠中に無意識に行われる上下の歯の強い接触やこすり合わせのことを指します。代表的なタイプには以下のものがあります。
- グラインディング型:ギリギリと歯をこすり合わせるタイプ
- クレンチング型:強く食いしばるタイプ(音が出にくく自覚されにくい)
- タッピング型:カチカチと歯を噛み合わせるタイプ
これらはストレスや噛み合わせ、生活習慣などが要因と考えられており、多くの人が無意識のうちに行っています。
歯ぎしり・食いしばりがもたらす影響
放置してしまうと、歯ぎしりや食いしばりは次のような問題を引き起こします。
- 歯のすり減り・欠け
強い力で歯がこすり合わされることで、歯の表面(エナメル質)が削れ、象牙質が露出することもあります。これらの症状は、知覚過敏や虫歯のリスクが高まります。 - 歯周病の悪化
歯や歯槽骨に過剰な力がかかることで、歯周組織がダメージを受け、歯周病の進行を早める要因となります。 - 顎関節症
長期的に続くことで顎関節に負担がかかり、口を開けるときに痛みや音がする「顎関節症」へとつながることもあります。 - 頭痛や肩こり
強い咬合力は咀嚼筋に過緊張を起こし、首や肩、頭部の筋肉にも悪影響を与えます。
ナイトガードとは?
ナイトガードは、睡眠中に装着するマウスピース型の装置です。主に上の歯に装着し、柔らかい樹脂や硬質のプラスチックで作られています。歯科医院で患者さん一人ひとりの歯型を採取し、オーダーメイドで作製するため、フィット感が良く快適に使用できます。
ナイトガードを装着することで、睡眠中に歯ぎしりや食いしばりが起きても、直接歯と歯がぶつかるのを防ぎ、歯や歯周組織を守る役割を果たします。
効果
- 歯の摩耗防止
エナメル質や詰め物・被せ物の破損を防ぎます。 - 顎関節の負担軽減
かみ合わせの衝撃を分散し、顎関節症の予防や症状緩和に役立ちます。 - 歯周組織の保護
過剰な力から歯肉や歯槽骨を守り、歯周病の悪化を防ぐことができます。 - 快眠のサポート
歯ぎしりによる音の軽減により、ご家族の睡眠を妨げにくくなる点もメリットです。
種類
歯科医院で作製されるナイトガードには、主に以下のタイプがあります。
ソフトタイプ:柔らかい素材で作られており、軽度の歯ぎしりや食いしばりに使用。装着感が良く初心者向き。
ハードタイプ:硬質レジンで作られており、強い歯ぎしりや顎関節症のある方に向いています。耐久性が高いのが特徴です。
上下どちらかに装着するタイプ:一般的には上顎のみに装着しますが、症状や噛み合わせにより下顎用を作る場合もあります。
使用上の注意点
ナイトガードは適切に使用し、管理することが大切です。
- 毎日の清掃
使用後は流水で洗い、専用の洗浄剤や義歯用の洗浄剤を用いると衛生的です。 - 変形や破損のチェック
熱湯に浸けたり強い力で扱うと変形することがあります。定期的に歯科医院で点検しましょう。 - 定期的な調整
歯並びや噛み合わせは変化するため、ナイトガードも調整が必要です。合わなくなってきたら早めに相談してください。
市販の歯ぎしり防止用マウスピースとの違い
最近では、ドラッグストアなどでも「歯ぎしり防止用マウスピース」が販売されていますが、これらは既製品のため微調整などが出来ず、多くの商品がフィット感や耐久性が不十分ということが多いです。
歯科医院で作成するナイトガードは、一人ひとり型取りのをして作成し、噛み合わせに対して微調整をするため安全性と効果が高く、「装着が合わず逆に顎関節に負担がかかる」ということがありません。
つまり、歯科医院で作るナイトガードは安全性と効果が高いのが大きな違いです。
まとめ
歯ぎしりや食いしばりは「よくある癖」と軽視されがちですが、放置すると歯の寿命を縮め、顎関節や全身にまで悪影響を及ぼすことがあります。ナイトガードは、そうしたリスクから歯と顎を守る有効な手段のひとつです。
歯科医院での診査・診断に基づき、自分に合ったナイトガードを作成することは、つまり、「いつまでも自分の歯で快適に食事を楽しむ」ための大切なサポートになります。一つでも気になる症状がある方は、ぜひ一度歯科医院に相談してみてください。