親知らずと矯正って関係ある?
~親知らずが歯並びや後戻りに与える影響、矯正前の抜歯判断~
歯並びを整えるために矯正治療を考えている方の中には、「親知らずは抜いたほうがいいの?」「矯正中や矯正後に影響はあるの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
親知らずは、生え方や位置によって歯並びに影響を与えることがあり、
矯正治療と深く関係しています。
今回は、矯正治療と親知らずの関係を中心に、抜歯を検討するタイミングや注意点について、わかりやすく解説します。
目次
親知らずとは?なぜ矯正治療と関係するの?
親知らずは、前から数えて8番目に生える永久歯で、10代後半から20代にかけて生えてくることが多い歯です。
現代人はあごが小さくなっているため、親知らずがきれいに生えるスペースが足りず、横向きや斜め、歯ぐきに埋まったままになるケースが多く見られます。
このような親知らずは、隣の歯を押したり、歯並び全体に影響を与えたりする原因になることがあり、矯正治療と切り離せない存在となっています。
親知らずが歯並びに与える影響
親知らずが歯並びに影響を与える主な理由は、「奥から前へ押す力」です。
● 歯が押されてガタガタになる
横向きや斜めに生えた親知らずは、手前の歯(第二大臼歯)を押すことがあります。そして、その力が少しずつ前方に伝わることで、前歯が重なったり、ねじれたりする原因になる場合があります。
● 矯正後の「後戻り」の原因になることも
矯正治療で整えた歯並びも、親知らずの圧力が加わることで、時間をかけて後戻りが起こる可能性があります。
特に下の前歯は影響を受けやすく、矯正後に歯並びが乱れたと感じる方の一因として、親知らずが関係しているケースもあります。
矯正前に親知らずを抜くべきケース
すべての方が必ず親知らずを抜く必要があるわけではありませんが、次のような場合は、矯正前に抜歯を検討することが多いです。
矯正前に抜歯をすすめられるケース
- 親知らずが横向き・斜めに生えている
- 歯ぐきの中に埋まっていて、将来的にトラブルが予想される
- 矯正で歯を後方に動かすスペースが必要
- 親知らずが原因で歯ぐきの炎症を繰り返している
- 矯正後の後戻りをできるだけ防ぎたい場合
矯正治療の計画を立てる際には、レントゲンやCTを用いて、親知らずの位置や向きを詳しく確認します。その上で、抜歯の必要性を総合的に判断します。
矯正中に親知らずを抜く場合の注意点
矯正治療が始まってから親知らずを抜くこともありますが、いくつか注意点があります。
- 抜歯後は一時的に腫れや痛みが出るため、矯正装置の調整と時期をずらすことがある
- 抜歯直後は口が開けにくく、矯正装置の管理がしづらいことがある
- 痛みや腫れが落ち着くまで、歯の移動を一時的に調整することがある
そのため、可能であれば矯正開始前に親知らずの抜歯を済ませておく方が、
治療計画がスムーズに進みやすいといえます。
矯正後に親知らずを抜くのは遅い?
「矯正が終わってから親知らずを抜いても大丈夫?」という質問もよくあります。
結論としては、状況によっては矯正後の抜歯でも問題ありません。
すでに歯並びが安定しており、親知らずがトラブルを起こしていなければ、
経過観察とする場合もあります。
ただし、将来的に生えてくる可能性がある場合や、後戻りのリスクが高いと判断された場合には、
矯正後でも抜歯をすすめられることがあります。
親知らずを抜かなくてよいケースもある
すべての親知らずが悪影響を与えるわけではありません。
抜かなくてよいことが多いケース
- まっすぐ正常に生えている
- 上下の歯でしっかり噛み合っている
- 清掃状態が良く、むし歯や歯周病のリスクが低い
- 矯正治療の計画に影響がない
このような場合は、無理に抜歯せず、定期的にチェックしながら様子を見ることも可能です。
親知らず抜歯と矯正治療を安全に進めるために
親知らずの抜歯が必要かどうかは、「今の状態」だけでなく、「将来どうなる可能性があるか」も含めて判断します。
そのため、自己判断せず、矯正歯科医や口腔外科医としっかり相談することが大切です。
CT撮影によって神経との距離を確認したり、矯正後の歯の動きを予測したりすることで、より安全で無理のない治療計画が立てられます。
まとめ:矯正と親知らずはセットで考えることが大切
矯正治療を成功させ、きれいな歯並びを長く保つためには、親知らずの存在を無視することはできません。
親知らずが歯並びや後戻りに影響を与える可能性がある場合は、適切なタイミングで抜歯を検討することが重要です。
一方で、問題のない親知らずまで無理に抜く必要はありません。
大切なのは、自分の口の状態を正しく知り、専門家と一緒にベストな選択をすることです。
矯正治療を検討している方は、ぜひ一度、親知らずについても詳しく相談してみてください。
将来の歯並びとお口の健康を守るための、大切な一歩になります。