ナイトガードはどうやって作るの?
皆さんは「歯ぎしり」や「食いしばり」という言葉を聞いたことがありますか?
朝起きたときに顎がだるい、歯がしみる、歯が削れているように見える…。これらは歯ぎしりや食いしばりが原因となっている可能性があります。こうした症状を放置すると、歯の寿命を縮めてしまったり、顎関節症を引き起こしたりするリスクがあります。
そんなトラブルから歯や顎を守るために有効なのが 「ナイトガード」 です。ナイトガードとは、夜寝るときに装着するマウスピースのようなもので、歯ぎしりや食いしばりの力を和らげ、歯や顎へのダメージを防ぐ役割を果たします。
では、このナイトガードはどのように作られるのでしょうか?今回は、ナイトガードの作成方法について分かりやすく紹介します。
目次
ナイトガードとは?
ナイトガードは、歯科医院で一人ひとりの歯に合わせて作る「オーダーメイドのマウスピース」です。市販のマウスピースと異なり、自分の歯並びにぴったり合うように作られるため、装着感が良く、睡眠中でも安心して使用できます。
主な役割は次の3つです。
- 歯同士が直接こすれ合うのを防ぐ
- 歯ぎしりや食いしばりの力を分散させる
- 顎関節への負担を軽減する
このように、ナイトガードは歯を守るだけでなく、顎の健康を保つためにも大切な役割を担っています。
ナイトガードを作る流れ
ナイトガードはどのような手順で作られるのでしょうか。大まかな流れを紹介します。
歯科医院で相談
まずは歯科医院で相談します。顎のだるさや歯のすり減り、頭痛や肩こりなど、日常で気になっている症状を伝えましょう。歯科医師は口の中を確認し、歯ぎしりや食いしばりのサインがあるかどうかを診断します。
型取り
ナイトガードを作るには、歯型を取る必要があります。通常は上顎の歯型を取り、そこに合わせてナイトガードを製作します。近年では、印象材を使わずに口腔内スキャナーでデータを取る方法を採用する医院もあります。
技工所で製作
歯型やデータは、歯科技工所に送られます。技工士が専用の材料を使い、患者さん一人ひとりに合ったナイトガードを製作します。硬めのタイプや柔らかめのタイプなど、素材の違いもあり、歯科医師が症状に応じて選択します。
完成・装着チェック
完成したナイトガードが歯科医院に届いたら、実際に装着してフィット感を確認します。違和感がある場合や、噛み合わせが合わない場合はその場で調整してもらえます。
使用方法の説明
最後に、歯科医師や歯科衛生士から使用方法について説明があります。
- 就寝中に毎日装着すること
- 使用後は水で洗い、専用の洗浄剤で清潔を保つこと
- 高温で変形する可能性があるため、熱湯で洗わないこと
- 保管は清潔で乾燥した場所で行うこと
こうした注意点を守ることで、ナイトガードを長持ちさせることができます。
作るときの注意点
ナイトガードを作る際に、いくつかの注意点があります。
まず、市販のマウスピースと歯科医院で作るナイトガードの違いです。市販品は「自分でお湯で柔らかくして歯型を取るタイプ」などがありますが、フィット感が不十分で、かえって噛み合わせを悪くしたり歯ぐきを傷つけたりする可能性があります。一方、歯科医院で作るナイトガードは精密に歯型を取るため、安全性と効果が高いのです。
また、ナイトガードも永久に使えるわけではありません。長期間使ううちに摩耗したり変形したりするため、定期的に歯科医院でチェックし、必要に応じて作り直すことが大切です。
費用の目安
ナイトガードは、保険が適用される場合があります。例えば、歯ぎしりや食いしばりによって歯や顎に症状が出ていると診断された場合、保険診療で作製可能です。
- 保険適用(3割負担)の場合:約5,000円前後
- 自費診療の場合:1万〜3万円程度
医院によって金額は異なりますが、歯を守るための投資と考えると決して高いものではありません。
まとめ
ナイトガードは、歯ぎしりや食いしばりから歯や顎を守る大切な装置です。作成の流れは「相談 → 型取り → 製作 → 装着チェック → 使用説明」とシンプルで、数回の通院で手に入れることができます。
市販品と違い、自分の歯並びに合わせたオーダーメイドで作るため安心感があり、長期的に使うことで歯や顎へのダメージを大幅に減らすことができます。
「歯がすり減ってきた」「顎がだるい」「家族から歯ぎしりを指摘された」など、心当たりのある方は、ぜひ一度歯科医院で相談してみてください。ナイトガードを正しく活用することで、歯と健康を長く守ることができます。
よくある質問
Q:ナイトガードはどのくらいの期間使えますか?
A:使い方や歯ぎしり・食いしばりの強さによって異なりますが、一般的には1〜3年程度使えることが多いです。ひび割れや変形、すり減りが出てきたら交換のサインです。定期検診の際に状態を確認してもらいましょう。
Q:夜以外にも使えますか?
A:基本的には就寝時に使用しますが、昼間でも強く食いしばってしまうクセがある方には日中の装着が有効な場合もあります。特に日常生活で集中するときに食いしばりが出やすい人にはおすすめです。
Q:保険は使えますか?
A:歯ぎしりや食いしばりによる治療目的であれば、保険が適用されるケースが多いです。ただし、美容目的や自費診療扱いになる場合もあるため、事前に歯科医院で確認しましょう。
Q:お手入れはどうすればいいですか?
A:使用後は流水で洗い、やわらかい歯ブラシで軽く汚れを落とすと清潔に保てます。定期的に専用の洗浄剤を使うとより衛生的です。歯磨き粉には研磨材が含まれているので、歯磨き粉をつけて清潔にすることはやめましょう。また、熱湯に浸けると変形するため避けてください。