歯がグラグラする…それ、歯周病のサインかも?

鏡を見て歯が傾いていたり、指や舌で触れたときに「なんだかグラつく」と感じたりしたことはありませんか?そのような歯のグラグラは、単なる加齢や一時的なものではなく、歯周病の進行によって引き起こされている可能性があります。

放っておくと、やがて自然に抜けてしまうリスクも…。今回は、歯がグラつくメカニズムや歯周病との関係、そして歯を失わないための対策について解説します。

なぜ歯がグラグラするのか?その仕組み

私たちの歯は「歯槽骨(しそうこつ)」という骨の中に植わっており、歯根膜というクッションのような組織によって支えられています。歯根膜は歯に適度な動きを許容し、咀嚼(そしゃく)時の力を吸収しています。

ところが、歯周病が進行すると、この支えとなる歯根膜や歯槽骨が炎症によって破壊されていきます。その結果、歯をしっかりと固定する土台が失われていき、歯がグラグラと動くようになるのです。

このグラグラしている状態を「歯の動揺(どうよう)」と呼びます。歯科では以下のような3段階で評価します。

  • 動揺度1度:わずかに動く。初期のサイン。
  • 動揺度2度:前後左右に大きく動く。
  • 動揺度3度:上下にも動く。抜歯の検討が必要な段階。

歯周病と歯のグラつきの関係

歯周病は、プラーク(歯垢)中の細菌によって歯ぐきに炎症が起こる病気です。初期段階では出血や腫れなどの症状にとどまりますが、中等度から重度に進行すると、歯槽骨が溶かされてしまいます

この骨の吸収が起こることで、歯の根がしっかりと支えられなくなり、やがて歯が動きやすくなる(=グラグラする)状態に。進行の程度によっては、抜歯が避けられないケースも少なくありません

特に自覚症状が出にくいため、「気づいたら歯が動いていた」「急に歯が抜けそうになっている」といった相談も多く見られます。

抜歯を避けるためにできること

グラつく歯を救うためには、症状に応じた適切な対応・治療が欠かせません。歯周組織の破壊が進んでいたとしても、歯科医師による早期の介入と継続的な管理で、抜歯を回避できるケースもあります。以下のような対策が考えられます。

早期発見と治療

歯の動揺を感じたら、すぐに歯科医院を受診しましょう。歯周ポケットの深さ、歯槽骨の吸収の程度、歯の動きの方向や強さなど、総合的な診査・診断により適切な治療方針が立てられます。

歯石除去・ルートプレーニング

初期から中等度の歯周病であれば、スケーリングやルートプレーニング(SRP)といった非外科的治療で改善が期待できます。歯周ポケット内の細菌や歯石を除去し、炎症の進行を食い止めることで、歯槽骨の吸収を抑え、組織の再生を促進します。

SPT(サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー)

歯周治療後の管理として欠かせないのがSPTです。定期的な再評価、ポケット内の洗浄、再感染の防止など、再発を抑えるための専門的なメンテナンスプログラムです。自宅でのセルフケアに加えて、歯科衛生士による定期的なクリーニングや生活習慣の指導が含まれます。

咬合(かみ合わせ)調整 – メリットと注意点

グラグラしている歯には過度な咬合圧が集中しやすく、さらに歯の動揺が悪化する要因となることがあります必要に応じて咬合調整を行い、歯への負担を軽減することで、症状が改善される場合があります。

ただし、過度な調整により健康な歯質を削ってしまうリスクもあるため、慎重な判断が求められます。専門的な診断に基づき、全体のバランスを見ながら調整が行われるべきです。

歯の固定(スプリント) – 一時的な手段としての位置づけ

動揺の強い歯に対しては、隣接する歯と連結し、固定する「スプリント」という方法があります。歯が動かないようにすることで、患者さんの不快感を軽減し、歯周組織の安定を図ります。

ただし、固定することで他の歯に負担がかかる・清掃が難しくなる・歯根破折のリスクが高まるといったデメリットも存在します。あくまで短期的・補助的な手段であり、根本的な治療と併用しながら進める必要があります。

このように、歯のグラつきに対する治療は**「一つの方法で治る」ものではなく、総合的な判断と治療計画が不可欠**です。自分自身がを状況理解し、継続的にケアに取り組む意識が何よりも重要です。

歯を残すために大切なのは「継続的なメンテナンス」

一度進行した歯周病は、完治するものではありません。そのため、治療後のメンテナンスが非常に重要です。歯科医院での衛生士ケアに加え、自宅での正しい歯みがきや生活習慣の見直しも必要になります。

特に喫煙やストレス、糖尿病などは歯周病のリスクを高める要因です。歯だけでなく、全身の健康状態にも目を向けることが、歯を守るカギとなります

歯のグラつきを感じたら、すぐに歯科へ

「少しグラグラするかも…」と感じた時点で、歯周病が進んでいるサインかもしれません。放置すればするほど、歯を失うリスクは高まります

しかし、早期に対応すれば、治療によって進行を止め、抜歯を回避できる可能性は十分あります。歯が動く=自然な現象ではありません。おかしいな、と思ったら迷わず歯科医院に相談しましょう。

いつまでも自分の歯でおいしく食事を楽しむために、今こそ一歩を踏み出すときです。