銀歯ってどんなもの?

皆さんは銀歯について、どこかで聞いたことや調べてみたことはありますか?
「虫歯になってしまい、治療後に銀歯になっていた」「先生から提案されたから銀歯を選んだ」という方も多いのではないかと思います。

銀歯というのは、虫歯の治療後に削った部分を修復するための金属の被せものです。
保険診療の範囲で治療ができる歯科材料で「金銀パラジウム合金」と呼ばれています。
成分は【金が12%以上、銀が40%以上、パラジウムが20%以上、銅が12~20%】と主には銀でできているため、「銀合金の一種」に分類されます。

銀歯自体の強度は高く、割れてしまうことも少ない材料ですが、長期的に見ると様々なトラブルを起こしやすいリスクもあります。
今回は、意外と知らない銀歯の特徴についてお話します。

銀歯のメリットとデメリット

銀歯のメリットと聞いて、皆さんが想像されるのはどのようなことでしょうか?
「保険診療の範囲内で治療ができる」という点は多くの方がイメージされることだと思います。
銀歯は、比較的安価に治療を行うことができるため、多くの方が選ばれている材料です。治療部位の型を取って作成しているので、コンポジットレジンと呼ばれる樹脂の材料よりも歯の細部まで再現できる特徴があります。
そのうえ、金属で作られているので耐久性もあり、奥歯への材料としても広く使用されています。

しかし、一見メリットばかりに感じる銀歯には、実はさまざまなデメリットがあります。
銀は口の中で歯周病菌が作るメチルメルカプタンという硫黄を含むガスと反応すると、黒く劣化する特徴があります。これを、銀の硫化腐食と言います。銀の硫化腐食はさまざまな部分に関係してきます。

1.二次虫歯を繰り返す

銀歯は耐久性や強度がある点がメリットですが、日常生活での咬合力や歯ぎしり・くいしばりなどによって変形しやすいという特徴があります。
劣化することで歯と銀歯の間に隙間が生まれ、そこに菌が侵入することで歯痛がなくても気付かないうちに中で虫歯が広がっている恐れがあります。
長くても治療後約5年の間には二次虫歯を繰り返すリスクが非常に高いと言われています。

2.見た目が良くない

食事の時や会話の時、笑った時などにチラッと銀歯が見えた時の印象はどうでしょうか?
「見た目がコンプレックスで自然に笑えない」と悩まれている方も多いと思います。
最近は歯科治療で審美性や機能性も重視された材料が増えてきているため、白い歯の中に銀歯があると不自然に目立つようになってきました。

3.金属アレルギーのリスクがある

銀の硫化腐食によって金属アレルギーを発症するリスクがあると聞いたことはありますか?
金属アレルギーと聞くと、アクセサリーなどをつけることで反応が出ると想像される方も多いですが、口の中で金属イオンが溶け出して体に取り込まれてしまうことで、アレルギー反応が出る場合があります。
症状としては、掌蹠膿疱症(手足に膿が出る病気)、汗疱状湿疹(手足に水膨れができる病気)、難治性のニキビ、アトピー性皮膚炎など、全身に関係した症状が出ることもあります。

このように、銀歯はせっかく歯を削って治療をしても、繰り返し虫歯を再発する可能性があります。
見た目や機能性はもちろん、体への安全面も重視したいお考えの方はほかの材料を使用した治療を検討されるとよいでしょう。